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新橋駅は日本初の鉄道起点駅ではなかった!?駅のプロとめぐる 文武両道ライド(後編)

新橋駅は日本初の鉄道起点駅ではなかった!?駅のプロとめぐる 文武両道ライド(後編)

コース概要

駅舎の設計を手がける設計事務所の浅倉則之さんにガイド役をお願いした、東京駅巡りライド後編(前編はこちらから)。
丸い緑の山手線唯一の踏切や都心の廃駅、そして新たな歴史を切り開く品川駅など、鉄分多めでおおくりします。

走行距離 約30km 所要時間 約4時間半
お手軽度
3
地域 都内
天気 晴れ 気温 15度

コースおすすめスポット

コース案内

四ツ谷飯田橋界隈を後にした取材班一行が向かったのは山手線に現存する唯一の踏切。そこから都心の廃駅、東京メトロ唯一の踏切や、昌平橋駅、万世橋駅といった短命の駅の名残を見つつ、日本で最初に鉄道が開業した新橋駅を当時のように復元した旧新橋停車場で日本鉄道開業の秘話を聞く。そして最後は品川駅と田町駅の間に建設が予定されている新駅の開発地へ。
鉄道が繋ぐ過去と未来をたどる、文武両道ライド後編となります。

現存する山手線唯一の踏切へ

オススメ度 5

鉄分多めのヲタの方々にとっては、“常識”かもしれないが、意外に知らない人も多い山手線唯一の踏切。

「山手線も約10年ほど前までは、目白駅と池袋駅の間にもうひとつ踏切があったのですが、それもなくなり最後に残ったのはこの第二中里踏切だけとなってしまいました」

今回のライドでは2つの“唯一モノ”が登場するが、これがその1つ目。場所は、山手線駒込駅と田端駅の間にあり、駒込駅寄りに位置する。長さおよそ10メートル、クルマ2台がようやくすれ違えるほどの幅員4.8メートルの第二中里踏切は、1925年(大正14年)に作られ、ラッシュ時には約2分間隔で電車が到着するようになった現在も、地元の生活道路と線路を仲介する地点として活躍中だ。

ついに幻となってしまった!京成線「寛永寺坂駅」

オススメ度 5

かつて京成線の京成上野−日暮里駅間には寛永寺坂駅という駅が存在した。1933年(昭和8年)に開設され、戦争末期から戦後しばらくは営業は休止されていた。その後、営業は再開したのだが、結局1947年(昭和22年)には営業は再び休止され、1953年にはとうとう廃止されてしまった。短命な駅であった。

「寛永寺坂駅のある区間は地下トンネルを通っています。そのため、戦時中には国鉄の優等列車を隠すために、このトンネルが利用されたそうです。ただ、京成電鉄の線路の幅は新幹線と同じスタンダードゲージなんですが、国鉄はナローゲージです。そのままでは、列車が入れないのでレールを3つ並べて3線軌道にして日暮里側から列車をトンネル内に引き入れたそうです」

短命ながらそんなエピソードも持っていた寛永寺坂駅は、廃止後も京成電鉄が土地を所有し、民間の倉庫会社に土地を貸していた。その際、旧駅舎や遺構はずっと残されていた。ところが、とうとう2016年8月から駅舎の解体作業が始まり、駅舎もなくなってしまった。我々が訪れたときには、駅のあった敷地は工事現場の囲いでぐるりと囲われていた。隙間から中を伺うと、寛永寺坂駅の名残を残す、かつては国旗が掲揚された「国威宣揚」と刻まれた掲揚台が寂しく佇んでいるのであった。

地下を走るから地下鉄では!?東京メトロ唯一の踏切を渡る!

オススメ度 5

今回の駅舎めぐりライドの二つ目の“唯一モノ”。それは、上野駅の入谷口からほど近い場所にある。

「銀座線の車庫があるのですが、車庫に入庫する際に東京メトロ唯一の踏切があります」

上野駅側から昭和通りを渡り、浅草方面へ抜ける通りに入るとすぐに踏切を発見。ちゃんと遮断機もある。でも、線路を通せんぼするように鉄柵が下されている。その鉄柵には「銀座線 踏切」と書いてある。

「始発と終電後には、この踏切を銀座線の車両が車庫へ向かって通過します。実は、踏切を通過している間は電線がなく、電気が通っていないんですね。まあ、どこかの車両に電気が通っていれば大丈夫なんですけどね」

こんなエピソードを聞けるのがプロと巡るライドの醍醐味。取材中にも男性がひとり、踏切を写真に収めていたが、そっと耳打ちしてあげたのは言うまでもない。

東京駅並みに立派だった「万世橋駅」の数奇な運命

オススメ度 5

現在は洒落たショップや飲食店が入居する商業施設「mAAch ecute」となっている場所には、かつては東京駅並みに立派なレンガ造りの駅舎を誇った「万世橋駅」があった。

「民間の鉄道会社でのちに国有化される甲武鉄道は、立川−新宿間を開通させた後、新宿から先への延伸計画をどんどん進めていました。先ほど見て来た牛込駅や飯田町駅も延伸されてできた駅です。万世橋駅を作るときには、万世橋から先へ路線を延伸する計画はなかったんです。つまり、万世橋駅が東端駅であり、中央本線の起終点となる予定でした。ところが、御茶ノ水駅から先の延伸工事が難航したんです。神田川に護岸を作りながら進むんですが、なかなか工事ははかどらなかったんですね。それで、御茶ノ水駅と万世橋駅の間に仮の駅として昌平橋駅を作りました。秋葉原駅から御茶ノ水方面に向かうと見えてくる昌平橋が一時は東端駅となったわけです」

1904年に始まった御茶ノ水駅から万世橋駅までの延伸工事は、約7年の歳月がかかり、ようやく1912年(明治45年)に万世橋駅は開業する。

「当時の万世橋駅は起終点の駅として作られましたから、相当豪華に作られました。東京駅と同じ設計者による赤レンガ造りの立派な駅舎だったんだそうです。ところが、その後、東京駅ができてしまったので万世橋駅の起終点としての役目も終わり、さらに関東大震災によって立派だった駅舎は壊れてしまいまったんですね」

大震災の後、仮駅舎が作られたが、かつてのようなターミナルの機能もない駅となり、1943年(昭和18年)には役目を終える。

そんな数奇な運命を辿った万世橋駅だったが、1936年(昭和11年)には交通博物館が駅と併設で開業し、鉄道ファンに愛される場所となったのだが。その交通博物館も2006年に閉鎖され、さいたま市大宮の鉄道博物館へとその役目を引き継いだ。

そして現在、「mAAch ecute」として、再び大勢の人が集まる場所となったのだった、おしまい。

「新橋駅」は日本初の鉄道起点駅…ではなかった!?

オススメ度 5

新橋駅といえば1872年(明治5年)横浜駅との間に日本初の鉄道が開通した際の起点駅として知られている。今回は、当時の駅舎が復元された「旧新橋停車場」を訪れた。現在の新橋駅汐留口から徒歩5分、汐留エリアの近代的な高層ビル群のなかにひっそりと、しかしながら重厚な姿で佇んでいる。

「この建物は、かつての新橋停車場の駅舎を復元しているんですが、当時の図面がなく、残された古い写真を元に復元しています」

建物の裏手には、ホームと日本の鉄道の起点を表すゼロキロポストがある。

「実はこのプラットフォームを利用して、結婚式を挙げることができるんですよ。過去に1回だけ結婚式が行われたことがあります」

まさに2人の関係もこのゼロキロポストから始まるってわけですねぇ。

「この新橋駅から品川駅までの間を地図で見ると、昔はほとんどが海でした。当時、初めて鉄道を通すということで国に掛け合いました。当時の国とは軍部のことですが、軍がこの辺りを管轄していたので鉄道を通すために、現在の国道15号線沿いの土地を貸して欲しいと。そしたら、軍がダメと言ったんですね。それで仕方なく、海を埋め立てながら線路を引きました。埋め立てるわけですから、とにかく時間がかかる。それで実は、先に線路が開通していた品川−横浜間が、新橋–横浜間よりも4ヶ月先に開業しているんですよ」

なんと、日本の鉄道が最初に走ったのは、品川−横浜間だったんですね!

山手線に50年ぶりの新駅誕生!そのスケールのデカさにびっくり!!

オススメ度 5

JR東日本は2024年の完成を目指し、品川−田町間に新たな駅を設置すると2014年に発表している。

「この計画はJR東日本の夢のプロジェクトで、駅を作るというよりは、新しい街を作るために新駅を作るといったほうが、プロジェクトの規模には合っています。その計画の全貌を見渡せるのが札の辻橋なんですよ」

ということで、田町駅からほど近い札の辻橋へ向かう。この橋の上からは品川駅を望みながら新幹線をはじめ、複数の路線が見られる。

「品川に向かってたくさんの線路があります。国道15号線と線路の間にはたくさんのビルが建っている三日月型のエリアがあります。JR東日本の計画では、いずれ線路を海側へ寄せて、より大きな三日月型の敷地を作り、いまあるビルを壊し、そこに新しい街を作るとしています。品川新駅は2020年のオリンピック時期には暫定開業予定で、
新駅の駅舎デザインは、新国立競技場で有名になった隈研吾さんです。」

JR東日本の発表によれば、敷地面積13.9ヘクタールで、そこにはオフィスビルやホテル、マンションなどが出現するという。

「この札の辻から品川駅までの距離が、前編で見た原宿駅から南青山にある根津美術館までの距離とほぼ同じです。その間には表参道がずーっと通っているわけです。つまり、このプロジェクトで表参道の街がひとつ出来上がってしまうほどの巨大なプロジェクトなんですよ」

表参道ひとつ分とは…、スケールが大きすぎる。まさに夢のようなプロジェクトだ。新駅は街の完成にさきがけて東京五輪開幕直前の2020年春には開業を目指すという。いまはまだ、たくさんのビルが林立している。はたして間に合うのかどうかわからないが、ときおりこの札の辻橋の上から見守りたいと思ったのであった。

あとがき

東京都心の環状線、言わずと知れた山手線エリアを中心に、過去と未来を繋ぐ鉄道、鉄道とクルマ、人の生活を繋ぐ駅や踏切をめぐる駅舎ライド後編。
100年以上にわたって人々の暮らしを支える踏切や、ひっそりとその役目を終えて姿を変えた駅舎、そして街づくりのための新駅スポットをプロの声とともにたどるコース。東京メトロの車両基地や地下鉄博物館など、まだまだ鉄道にまつわるスポットは東京都心にも数多くあります。そんなスポットをたどるのには自転車がイチバン!あなたも新しい街の魅力を発見しに、自転車で出かけませんか。

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このコースガイドを書いた人

編集部S
くるくるメディア編集部デスクです。あちこち走り回るぞ!