コラム

[走れ!自転車天国]ツアー・オブ・ニュージーランド編 その7

ツアー・オブ・ニュージーランド編 その7

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フォトグラファーの下城英悟です。ツアー・オブ・ニュージーランド編、今回は「その7」です。

前回までの「自転車天国」はこちら
ツアー・オブ・ニュージーランド編 その6
ツアー・オブ・ニュージーランド編 その5
ツアー・オブ・ニュージーランド編 その4
ツアー・オブ・ニュージーランド編 その3
ツアー・オブ・ニュージーランド編 その2
ツアー・オブ・ニュージーランド編 その1

いきなり満天の星空です。
いったいどーしたことだ? 天文サイトに飛んじゃったかな? なんて思った方もいらっしゃるかもしれません。安心してください、くるくるサイクルですよ。

さて、ここまでツアーと自転車のことばかり書いてきましたので、この辺で少し話題を変えまして、走っていないオフの時間について書いてみようと思い、ならばと秘蔵のこの写真を、というわけです。撮影場所は、自然豊かな南島中央部の美しいテカポ湖畔にあるマウントジョン天文台。翌日も80km超のハードライドが待っていましたが、世界屈指の星空が肉眼で観測できるということで、夜のオプショナルツアーに参加しました。

暗闇の中、湖畔の夜景を遠くに見ながら僕たちを乗せたバスが急勾配を登っていきます。車窓にはすでに無数の星が煌めいているのがわかります。随分高度を上げ、坂を登りきった湖畔の山上の草原のような場所に天文台がありました。あたりは施設から漏れるかすかな明かり以外、ほぼ暗闇です。光を求め見上げた天蓋たるや…、ため息とともに見惚れかけてしまいましたが、ここでツアー主催者から注意が入ります。

このマウントジョン天文台は、高度な学術研究機関でもあり、夜間が本格的な観測が稼働している時間帯なので、くれぐれもライトなど明かりをつけないように、とのことでした。些細な光でも観測に誤差を生んでしまうそうです。

さらに、天文台の解説が続きます。南極を除いて世界で最南端にある天文台で、天候など観測環境が非常に良く、実際にマゼラン星雲を年中肉眼観測ができます、と…。マゼラン星雲といわれても、私などはウルトラセブンが浮かんだくらいで、全然ピンと来ませんでしたが、見上げれば本当に写真のような星空です。どれがマゼラン星雲かはこのときわかりませんでしたが、まさに星雲の中を漂っているかのような星、星、星の海で、掛け値のない感動がありました。

マウントジョン天文台は、重力マイクロレンズ観測という高度な技術を運用し、非常に観測のむずかしいブラックホールの観測などに成果を上げているそうです。日本の国立名古屋大学が主導となって運用されているということで、さらに親近感がわきます。

大型の天体望遠鏡で、マゼラン星雲を観測したあと、肉眼で同じ方角を確認すると、ぼんやりと白く煙るような星雲が確かに見えました。山上はとても寒いのですが、素敵なカフェもあり、ココアを注文して温まりながらいつまででも星を観てしまいます。ミルキーウェイ、日本でいう天の川も、長く濃く流れています。

遠い宇宙が、近くなった気さえした星空散歩の夜でした。

走れ!自転車天国の過去のコラムはこちら!
https://www.curucurucycle.net/news/column/cycle-heaven

プロフィール

下城 英悟(シモジョウ エイゴ)
Photo&Videographer/Director。1974年長野県上田市生まれ。2000年より写真と映像兼務のフリーランスカメラマンとなり、各種制作業務請け負う。2010年、神保町にてスタジオGREENHOUSEを設立。自転車をこよなく愛し、専門誌への寄稿、撮影も多数。

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