コラム

[くるくる写真塾]第8回 旬の写真を味わう

第8回 旬の写真を味わう

旬のものを味わう感性は、四季豊かなこの国に生まれた私たち日本人ならではの感覚でしょう。

旬というのは、なにも食べものにかぎったことではないですね。旬には、物事の一番良いタイミングや、状態を追求するという意味も含まれるので、四季折々の風物に富む日本には、食以外にもたくさんの「旬」が存在します。そういいつつ今回の作例は秋の味覚の代表選手、秋刀魚の炭火焼。食に勝る旬なしというのも、また真実です……。

前回までの「くるくる写真塾」はこちら
第7回 ライドイベントのススメ
第6回 アングルのはなし
第5回 ロケーションハンティング
第4回 ボケとピントのはなし~その2~
第3回 ボケとピントのはなし~その1~
第2回 “自撮り”派サイクリスト
第1回 ようこそ「くるくる写真塾」へ!

兎にも角にもカメラは、旬を追うには最適な道具です。
季節は秋、旬ということで言えばこれ以上のタイミングはありません。今年は異常気象で、なにやら暑い日や雨の日ばかりが続いたせいか、山の紅葉なども遅れているそうです。おかげでこれからまだまだ秋の旬をたくさん堪能できると、都合よく考えて、カメラを持って外に出てみましょう。

紅葉を求めてもみじ狩りに遠乗りは定番ですね。涼しく走りやすくなった半島の灯台巡りなんてのもいいですね、秋の夕景の灯台なんて素敵な題材でしょう。例によって自分の愛車の写し込みは必須ですか。

先日とある峠の山道を走っていたら、いが栗が道まで転げて出てきていました。これもまさに旬の題材。写真に撮ったら持って帰って蒸しちゃうなんてのもいいですね、それも写真に撮ったりしたら、一粒で二度美味しいとはまさにこのこと。撮影旅行の帰り道などは、この際輪行にして、駅前の居酒屋で地場の秋の味覚に舌鼓もありますね。贅沢な締めくくり。うっかり写真撮り忘れても、この際忘れてしまいましょう。1日旬をテーマにたくさん撮ったはずですから。

いずれこの写真塾でも触れようと思っていますが、テーマを持って写真を撮ることは、継続的に写真を楽しみ、撮り続けることが出来る大切な要素です。そう考えた時、「旬」をテーマにするというのは、万人にとって写真撮影のモチベーションになりうる良いテーマ選びだと思います。

写真を始めたばかりの方がよくおっしゃる悩みに、何をとっていいかわからない、という悩みが多くあります。素直に撮りたいものをどうぞ、と言いたくなりますが、人というのは先人に引かれたラインを辿ることで、効率よく歩き方を知り、しかも最短に目的地に着くことが出来る知恵の生き物、まずはラインを見つけるのが色々と手早い。そういう意味で、手引きとなるテーマ選定が大事になります。

そんなこんなでテーマ「旬」の出番です。万能で普遍、こんな都合のいいテーマをもつ私たち日本人は幸せかもしれません。日本で写真が特別発展したのも、「旬」の一文字ですくい取ることが出来る風景が豊かだからかもしれません。

<一口メモ>

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先日参加したツールド東北の雄勝エイドステーションで、炭火で網焼きされ、参加者に振る舞われていた秋刀魚です。東北沿岸の豊かな自然と、少しずつながら復興が進む被災地の景色を体験しながら、各地で振る舞われた秋の旬の味覚が、心身に沁みました。

ちなみに、こういったお料理を撮る際のワンポイントアドバイス。構図になやんだら、とにかく真俯瞰から撮ってみる。理由は色々ありますが、立体感の表現要素を意図的に殺せるので、二次元的な絵作りとなり非常に収まりが良くなります。色々考えず、まずはお試しあれ。

プロフィール

下城 英悟(シモジョウ エイゴ)
Photo&Videographer/Director。1974年長野県上田市生まれ。2000年より写真と映像兼務のフリーランスカメラマンとなり、各種制作業務請け負う。2010年、神保町にてスタジオGREENHOUSEを設立。自転車をこよなく愛し、専門誌への寄稿、撮影も多数。

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